終末の浜辺

1970年代にアメリカニューカラー写真の第一人者ジョエル・マイヤウィッツが撮影したアメリカ東部のプロヴィンスタウン/ケープコッドの浜辺は80年代、AIDS末期患者が最期を迎えたい場所で人気NO.1となった。


90年代始め出来立ての葛西臨海公園に同じ浜辺の気配を感じた僕は作品「SEASIDE PARK」を撮影。


一方、80年代、広告写真家の大先輩である広川泰士さんはマイヤウィッツと同じ8×10のカメラで原発がある浜辺をテーマに「STILL CRAZY」を撮影されている。



40年前最初に撮られた非常にセンシティブな浜辺は30年前に終末の浜辺としてブームになり、未来を予見したかのように先輩は原発の浜辺に向かい、また20年前の僕は東京の浜辺にその片鱗を感じ同じくシャッターを押した。



そして現在、終末の浜辺は東北に現実化してしまったが、いっそ超高画素撮影技法でその浜辺を撮影しながらそのままその場で最期を迎えたりできたらどんなに幸福だろうなどと、無責任な妄想にとらわれる自分がいる。


きっと浜辺は美しい風景のまま無人で浄化の時を待っているだろう事は容易に想像出来てしまう


故里とは国にあらず山河にあり
という福島取材直後の藤原新也さん言霊が頭から離れない